デイリーフレネ

vol 1507 2008.7.3

● 全体主義への道・・・?

 

ある学校でのお話・・・。愛校作業(これも懐かしい響きがするなあ)で休日出勤。保護者・教師・生徒で学校の清掃を一日がかりで行った。ある教師の提案でトイレ掃除を率先して行う集団にもお越し願い、トイレの掃除も行った。 幾つかのグループにわかれトイレ掃除を行うのだが、あるグループのトイレ集団リーダー曰く、「素手で便器を洗ってください」みんな引いたが、やらざるを得ない状況で仕方なく従った。

 

トイレの便器がきれいになったところで、そのトイレ集団のリーダー、「ずいぶんきれいになったねえ」・・・、そしてその便器に溜まっていた水で顔を洗う。まあ、一種のデモンストレーションの一つだろうが・・・、これがエスカレートしていくと、全員、便器に溜まった水で顔を洗わなければならない状況になっていくだろう。

 

一見して誰もが反対できないような運動やその状況の中、それに異議挟むことは勇気がいる。例えば、歩け歩け運動、一日一善運動・・・。

 

ぼくもフレネのトイレを年に数回、素手で洗う。プリンのカップで溜まっている水をすくい、便器の奥を素手でごしごし洗う。ただし、それを他者に強制・強要しない。自分が気持ちよければそれでいい。

 

かつてこの国もヨーロッパのある国も一糸乱れぬ統制のもと破滅に向かっていった。ユダヤ人や朝鮮人の迫害・・・、これを全体主義という。 愛校作業におけるトイレ掃除集団・・・、怖いと思うのは、ぼく一人だけだろうか?

 

かつてナチズムのユダヤ人迫害でアメリカに亡命した思想家ハンナ・アーレントは、イスラエルにおけるナチスの戦犯アイヒマンの裁判をナチズムの対極における全体主義と懐疑的な意見を出し、ユダヤ人社会から批判された。しかし、ぼくはアーレントの勇気から多くのものを学びたい。

 

教育の世界でも同じことが言える。誰もが反対できないようなものには、眉につばつけて吟味しなければいけない。

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