VOL 1519 2009.06.03
以前書いた文章を連載でお届けします。
対話による見極め―テクストを超えるために(1)
木幡 寛 (フリースクール ジャパンフレネ代表)
プロローグ
大分県教員採用試験で収賄・贈賄の嵐!06年と07年の小学校教員採用試験では、合格者82人のうち少なくとも30人については、県教委ぐるみで点数を水増ししたそうだ。4割の合格者に不正があったということだが、悪質なのは合格者の平均得点が不自然に高くなることを回避するため、ボーダーライン上にいた10人近くの成績を減点したこと。ナンタルチア!サンタルチア!である。
このことに関して、「子どもがかわいそう」、「教育に信頼が置けなくなった」、「人を教える立場の者が・・・」等々のコメントが放映されていたが、考えてみるとこの手の話(採用試験、昇進における情実)は古今東西、いつだってどこだってあり得る話である。たまたま、大分県がスケープゴート的に槍玉に上がっているが、どの都道府県でも程度の差こそあれ同じようなことがある。ぼくの友人が教職員採用試験を受ける時、県庁に勤務する伯父から受験番号を知らせるよう連絡があったそうだ。
ぼくの知っているある県では、教職員組合の幹部になっていると昇進が早いのは歴然たる事実・・・。例えば、教職員組合の専従経験者は、若くして管理職(校長、教頭)に昇進している。一般に教職員組合は、管理職は加入できない。しかし、この県では、教育委員会・校長・教頭を含め、連合教育会を組織している。教育委員会と教職員組合がツーカーの仲なのだ。
教員採用試験という一つのテクストをどう読むか?不正に対して憤慨するのも一つの読みだが、もっと面白い読みはないだろうか。くそまじめに試験勉強するのも、読みの結果だが、教員採用試験そのものを笑い飛ばし、楽しむ方法はないものだろうか?