VOL 1525 2009.06.10
『いろんな世情がありまして、人はそれぞれ惑います・・・』(1)
プロローグ
『学校のせんせいになって』
仕事が回りません
何をするにも時間がかかり
気持ちは焦るばかり
子どもの声を聞く?
(今はそれどころじゃないんだ)
分からない子を救う?
(進めるだけでせいいっぱいなんだ)
大事なことがみえなくって
表面をつくろうだけ
はりぼての先生です
はりぼての教育です
はりぼてパワーです
以前、朗読のワークショップを行ったとき、現役教師が自作の詩を朗読した。
切実感がにじみ出ている。
教育の流れは、ゆとり教育の失敗(?)やPISAの国際学力調査から学力低下問題に照準が合わされ、学習指導要領も授業時間数の増加と学力増進にシフト化された。同時に教員免許状の更新制度も今年から実施される。東京のある小学校では隔年行われていた学芸会も中止になり、授業時数の確保に大わらわ。
教育状況における世情とは上記のごとく流れていくが、日本の学力問題の滑稽さは、従来行われてきた<How to>型の学力観が破綻しているにもかかわらず、百マス計算に代表される鍛錬・反復練習に収斂していくお粗末さにつきる。PISAの国際学力調査で求められているのは、単に計算や読み書きできることにとどまらない<Why>型の学力=どうしてそうなるのかを追求していくことなのだが、行政や現場の教員の眼は、そこに行かない。冒頭の詩にあるように、現場、ご難の時代である。
嗚呼、無情!
世情【せじょう】世の中のありさま。世態と人情。
広辞苑第四版にはこう書かれている。世の中のありさまもいろいろな切り口があり、その切り口により、ものの見え方も必然的に違ってくる。様々な切り口から、世の中のありさまを見てみよう。
(PART 1に続く)