NO2354 2009.09.10 『田中さんを知っていますか?』
子どもを保育園に送っていく時、毎朝毎朝、沖電気高尾工場の正門前で歌を歌い演説している人がいる。どういう人なのか、興味を持った。
ある時、朝日新聞のタウン誌にその人の記事が掲載されていた。会社の方針に反対したところ、一方的に配置転換を命ぜられ、それを不服としたら不当解雇された。それ以降、戦いの日が続く。毎朝、ギターを弾き、不当解雇を訴える。月に一度は、ハンストを行う。その戦いが20年以上続いている。それが田中さんだ。
そのことを知り、沖電気の前で歌い演説する田中さんを見るたび、「おはようございます」とあいさつすることにした。すると、田中さんも「おはようございます」と返してくれる。それだけの間柄・・・。
ぼくが挨拶するようになって1年もたったころ、「いつも声をかけていただきありがとうございます。よろしかったら、このDVDを観てください。ぼくの友達が作ってくれたDVDです」と1枚のDVDを田中さんから渡された。タイトルは、『田中さんはラジオ体操をしない』・・・。
しばらく経ってから、いただいたDVDのことを思い出し、なんとなく観てみた。が、!!!!!
なんとなく観るような柔なDVDではなかった。田中さんの戦いを過去から現在に到るまでドキュメンタリーとして構成されている秀逸な作品!会社の管理が厳しくなり、朝のラジオ体操を強制するようになる。それに参加しなかった田中さんは、周りから白い眼で見られ、村八分に会う。
会社という組織の中で、歯車としてしか生きられないおかしさを笑い飛ばしたのは、かのチャップリンだ。歯車として生きることを拒否すること=会社にとって不必要な人間・・・。そんな非人間的な行為に真正面から戦い挑んだ田中さん・・・。
そんな田中さんの生き方に学ぶことが多かった。久しぶりに人間を見た・・・。