NO 1543 『BASURA』を観る 2009.10.13
先週の金曜日、お散歩の授業で映画『BASURA―バスーラ』を観た。
フィリピンの首都マニラ均衡の巨大なゴミ捨て場の街「スモーキーマウンテン」に住む子ども達を撮った処女作『忘れられた子供たち スカベンジャー』を通して出会った登場人物たちひとりひとりを訪ねていくドキュメンタリー。いやはや、すさまじい映画だった。
『スモーキーマウンテン=フィリピンの貧困の象徴』として国際世論から大批判を受けたフィリピン政府は、スモーキーマウンテンに住む約2万人の人々を隔離、スモーキーマウンテンを閉鎖。
仮設住宅に住む人々の9割が仕事が見つからず、近くにできたゴミ捨て場でゴミを拾う生活を続けている。
結核をはじめ様々な伝染病の蔓延、掘っ立て小屋での不自由な生活・・・。この世のものとは思われない風景が続く。このような風景を直視すると、私達のあまりの無力さにただただ恥じ入るだけだが、眼をそらしてはいけない。
少なくとも「この悲惨さに比べると、私達はなんて幸せなんだ。ご飯を大切にしなければいけない」という論調だけは、避けなければならない。事実を直視し、私にはなにができるか(フィリピンの問題だけにとどまらず)まず考えること。できるところからスタートすること。実にシンプルな問いかけが必要だろう。
映画終了後、監督の四ノ宮さんと少し話す機会があった。
「フィリピンの不登校と日本の不登校は、問題の質が違うけれど、この現実を見ると、行き方が少し変わるんじゃないかな。いわゆる不良といわれる日本の子ども達は、完全に変わっていったね」
重い・・・、実に重い映画だけれど、監督の言うように自分を変えていく契機になることは、確かだ。恵比寿のガーデンプレース内にある東京写真美術館で16日(金)まで上映。監督四ノ宮浩さんのご厚意により、高校生以下無料というのがうれしい。必見!