NO 1544 A君のこと 2009.10.14
「木幡さんできたよ!」
A君がうれしそうにぼくのところにやってきた。
鉄道路線の各駅のキャッチフレーズを考え、それを一つずつ文章にしていく。山手線や大江戸線からスタートし、現在は秋田新幹線にチャレンジ!地道にこつこつ仕事をしている。
初めから何も無い雫石→湖がある田沢湖→まだ何も無い角館→かまくらが有名なの?大曲→日本三大うどん・稲庭うどん、終点秋田。
初めから何も無い雫石には笑ってしまった。
「角館といったら武家屋敷。大曲は、曲げわっぱが有名だよね」
「うん、うん」
二人のダイアローグが始まる。
A君は運動障害があり、うまく発語できない。そのことで学校では苦労してきたと聞いている。
でもここでは、ゆっくり話す、伝わらないときは書く。聞くほうも急がせない。だから、きちんどダイアローグが成立する。地理が大好きなA君、下調べも周到だ。
一人ひとりが活躍でき、それをみんなが認め合う。障害は個性を大きく乗り越え、プラスですらある。A君を通じてそのことがよくわかる。