デイリーフレネ

NO 1554 人間性?

『人間性』と言うテーマで22枚の原稿を頼まれた。

 

文明が発達し、人類の生活は便利になり、物質的に豊かになりました。しかし文明が発達しても、それが直接人間性の発達につながるものではないといわれています。物質的には豊かになったが、精神的には貧しくなったなどという人もいます。

それでは、人間性を向上させるものとは何でしょうか?そもそも人間性とは何でしょうか?精神的に豊かとは、どういうことを指すのでしょうか?相手を思いやるといった精神はどのようにしてはぐくまれてゆくものなのでしょうか?

あまりに根本的なことを質問してすいません。ヒントになるようなことがあれば教えてください。よろしくお願いします

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「疑問点を教えてください」→「それにお答えします」というサイトの中の質問だ。

それに対するサイト閲覧者の解答を一つ紹介しよう

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「向上」というからには「ものさし」「基準」というものが必要になります。また、ご自身でお分かりのように、まず「人間性」を定義しなければなりません。

 

さて、ここで、重大な点に気づいてしまうわけです。それは「人間性」とは「定性的なものであり、定量的なものではない(ものさしで計れない)」ということです。
 

 

広辞苑は、人間性を「人間としての本性。人間らしさ。」と定義しています。すなわち、まさに文字通り人間性とは「性質」なのです。
 

 

いったい「性質を向上させる」とはどういうことでしょうか?性質とはたとえば、色が青だとか赤だとか、そういったものであり、どの程度青いとかどの程度赤いとかそういったことではありません。よって「人間性」を「向上」させるというテーマそのものが成り立たないのではないでしょうか?

 

さて、ひるがえってご質問を「よい人間性を築くにはどのような方法がありますか」や「よい人間性とはどういう性質でしょうか」ということであれば、テーマとして成り立つでしょう。しかし、ここにも一つの「正解」とも言うべきものを求める上での問題があります。それは「よい」という価値観がひとによって違うということです。結局、人が人としてどのようであるべきか、ということは、容易に人に質問したり、誰かに規定してもらうようなことではない、ともいえます。
 

 

また、このテーマは哲学的であり宗教的です。哲学や宗教は、人類が英知として築いてきたものであり、そこにはまさに「人間とはなにか」という「人間性の追究」があふれています。ご質問の答え(あなたが考える正解)をお知りになりたければ、哲学書や宗教書を数多くお読みになることをお勧めします。

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うーん、すばらしい!これで今回のテーマ『人間性について』は、語りつくされてしまった。しかし、広辞苑が言う「人間としての本性。人間らしさ。」・・・、これは、」さっぱりわからない。概して、上記「本性」「らしさ」に対し肯定的に捕らえているのが、一般的である。人間とは他の生き物とは、違う何かがある。人間優位が臭う。

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人間なんて ラララ ラララ

人間なんて ラララ ラララ

 

 

何かがほしいおいら

それがなんだかわからないよ

だけど何かがたりないよ

今の自分もおかしいよ

そらにうかぶ雲は

いつかどこかへとんでゆく

そこになにかがあるんだろうか

それはだれにもわからない

 

 

人間なんて ラララ ラララ

人間なんて ラララ ラララ

 

 

1971年夏に行われた第3回全日本フォークジャンボリーで商業主義音楽に対し、サブステージで、このリフレインを2時間続けたのは、よしだたくろう(吉田拓郎)・・・(しかし、彼も今や商業主義に毒されているという向きもある)。

 

 

ここで歌われている『人間なんて』は、必ずしも肯定的な意味で捉えられているわけではない。ううーん、人間って?人間性って?ラララ ラララ ラララ ラララ・・・。

 

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 ぬけるような空が痛い

 風がヒゲに遊んでゆく

 申し訳ないが気分がいい

 全ては此処につきるはず

 どうしてこんなに 当たり前のことに

 今まで気づかなかったのか

 

 

 緑が瞳をえぐり出し

 谷川と鳥たちのうた

 申し訳ないが気分がいい

 全ては此処につきるはず

 どうしてこんなに 当たり前のことに

 今まで気づかなかったのか

 

 

 土と緑と動くものと

 水と光とそして私

 今はじめて彼らを知り

 今はじめて私を知る

 今この時 私は私を

 人と 人と名付けるのだ

             (「申し訳ないが気分がいい」岡林 信康)

 

1971年の第3回全日本フォークジャンボリー、よしだたくろうが「人間なんて」を2時間歌い始め、その後ステージに花火が打ち込まれるなど、騒然とした雰囲気に。暴動を恐れた岡林信康が逃げ帰り、しばらく表舞台から姿を消す。

 

 

その後、岡林は、関西の共同体で上記の詞を作った。遅ればせながら、大学をドロップアウトしたぼくは、関西の共同体を放浪し、「申し訳ないが気分がいい」を知る。そうだ、岡林に会いに行こう!三重県の共同体からヒッチハイクで彼の住む岐阜・中津川に飛んだ。

 

 

山道を登っていくと吉田日出子と手をつないで歩いてくる岡林とばったり・・・。

「岡林さんに会いに来たんですよ」

「悪いなあ、これから出かけるんや。友達の家に泊まってや」

ただそれだけのこと・・・。中津川の山奥の人と人との出会い・・・、別れ・・・。ただ、それだけのこと。

 

 

申し訳ないが気分がいい・・・。すべては、此処につきるはず・・・。

人間なんて・・・。

 

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