デイリーフレネ

NO 1556 京都からのお便りです

京都のYさんから、お便りです。

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ジャパンフレネの皆様

はじめまして。
フレネの教育に興味があり、こうして連絡差し上げています。


私は京都で小学校の非常勤講師をしながら教育関係の勉強をしている者
です。来春から教育学の院に通います。研究の課題としてフレネ教育
と、教師の裁量と学習効果との関係、という二つを軸にしたいと考えて
います。


○公教育における可能性を探りたいということ
○現場で目のあたりにした、教育の目的やユネスコの子供の権利条約へ
の顧慮のなされていない実態
○先生方のポテンシャルは本当はもっと高いのに、目に見えない制限に
よりそれが生かしきれていないということ


などが、教育を学ぼうと考えるきっかけでした。(大学は教育とは関係
のない英文科出身です。)
経験則としてはその可能性の方向が、教師の采配の自由の幅と関係して
いると感じていますが、イギリス等にみられるように教育の分権には危
険も孕んでいます。しかし、教師がその個性を生かしながらそれぞれの
方法でクリエイティブな教育を行うことが、教育に最大の効果をもたら
すのではないかと考えています。生徒同様、教師も個性と可能性をもつ
<人間>だからです。その意味で教育は <art : 芸術・
技術> であると思います。生徒との関わりの中での教師の全人的な有
機的活動の統合、とも言い換えられます。


もちろん、最大の目的は、子供達が、枠のない自発的で自律的な学びを
経験することで、自己発展的な成長を遂げることを教育によってサポー
トすることにあります。これまで担任としてではなく教室に入ること
で、ある意味じっくりと教室の中を見ることができました。幸い私の出
会った先生方の多くは能力も高く熱心であると感じましたが、それでも
なお子供達の無限の可能性は毎日の教育によってひとつづつ摘みとられ
ているように見受けられました。とても残念でした。


私自身の学校での被教育経験についても、可能性を広げるような教育で
はなかったと感じています。作文が得意だったのですが、「このように
書くことを(先生や世間は)望んでいるだろう」と思うところを書いて
はその予想が的中する、という、すれた小学生だったかも知れません。
読書自体は大好きだったので、今も書き物が好きで、それは音楽という
形で今に生かされています。音楽もまた、全人的な活動です。 
フレネ教育を知ったのは、フィンランドにフレネ式の教育を取り入れて
いる学校がある、ということがきっかけでした。フィンランド教育、フ
レネ教育、どちらも「子供」というものに対する私の基本的な考え方の
可能性を示してくれるものでした。


ジャパンフレネでは公教育の限界について語られていますね。そこは、
もちろん、見逃すことのできない問題点です。日本の公教育が今の姿で
ある所以です。しかし、多くの子供達は自分でそこから逃れることはで
きません。そこで私は最終的には何らかのかたちで公教育に関わりたい
と考えています。


このような私ですが、フレネジャパンでのボランティアの機会があれ
ば、是非参加させていただきたいと思います。京都在住ですので日常的
な活動には参加できませんが、関西での活動などがあれば、お知らせい
ただけるとありがたいです。また、かつてスキー講師として数年間冬は
長野で過ごしており、現場からはなれて久しくはありますが、その経験
が役立つようであれば是非仰って下さい。蛇足ですが、私は「学ぶ」と
いうことをスキーを通して十数年をかけて知ったように思っています。
私にとってその最終目的は、雪の上で自由に動く、ということでした。
それがスキーを最大限楽しめる方法だからです。この経験が私のアイデ
ンティティーの核となっている気がします。

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