デイリーフレネ

NO 1570 流れ流れてばっくれて、いろんな価値観知りました(2) 2010.9.27

PART 1 大学→コミューン→大学


70年安保の後、ぼくは大学をばっくれた。バリケードストライキを行う前日、全ての教室に消火器の消火液を撒き散らし、まじめに授業に出てこようとする学生の登校を阻止したあの日・・・。あれは一体何だったのだろう?黙々と掃除する清掃員の姿が目に焼きついている。


大学という幻想に愛想がつきたぼくは、「もう大学で学ぶことはない」と退学届けを出し、三重県のコミューン(共同体)を目指した。今考えると、まだ幻想を抱えていたのかもしれない。そこに行けば何かある・・・。いや、何かではなくユートピアがあるはずだ。


科学工業養鶏をベースに全国各地に実顕地を拡大しつつあった共同体にとって、大学をドロップアウトしてきた若者は、唯一の現金収入になる土木建設現場へ駆り出された。
護岸工事、宅地の基礎作り、鶏舎の建設、台風一過の土砂崩れ現場での泥運び・・・。
毎日毎日、ねこ車を押して砂利を運ぶ。スコップやつるはしで穴を掘る。土木会社の現場監督は、昼飯時いつもぼく達をこう怒鳴っていた。「なに好きこのんで土方なんかやってるんだ!大学まで行かせてもらったのに途中でやめやがって!親父やお袋は、泣いてるぞ!」


無給の土方仕事の後、焼酎をかっくらいながら夢や希望を朝まで語り、また土方仕事に出かける。それはそれで楽しいが、シンプルな疑問として土方仕事→ユートピアへの結びつきがどうしても理解できない。1年後、体調を崩したこともあり、各地にある共同体との連絡やキャンペーンの仕事をするようになった。『非暴力運動』を当時初めて日本に紹介した阿木幸男さん(当時早稲田の学生)と知り合い、アメリカからやってきた非暴力運動トレーナーたちと大倭紫陽花邑(ハンセン氏病を患った人の宿泊施設があった)で合宿をしたり、近鉄奈良駅前で近鉄資本を批判する即興劇を演じたりしていた。


しかし、結局、その共同体からもばっくれる。だって、あれもやりたいこれもやりたいという若者のパトスを吸収し、発展させてくれる組織じゃなかったんだなあ。いろいろ提案しても、理由無しで却下されるのにはまいった。他力本願のユートピア探しは無意味であることをここで悟り、東京までヒッチハイクして帰ってきましたよ。


それからの2年間、合羽橋の紙問屋、ビルの清掃、家庭教師、レストランの調理場などで働いて食いつないでいたが、体調を崩したのをきっかけに大学に泣きを入れた。退学届けを出したのだが復学できるかと・・・。数日後、大学学生課の女子職員から電話がかかってくる。
「木幡さん、応援しています。何とか教授面接にまでもって行きます。頑張って下さい」70年前後、大学内ではでに暴れていたのを知っていた女子職員がぼくを覚えていてくれたのだ。「木幡君、まじめにやる気になったのかい?それなら、戻ってきなさい」という教授の一言で復学・・・。今考えると、信じられないような話だ。37年前の大学は、なんとのどかな所だったのだろう・・・。


価値観の押し付け―その1 瀬底島『一休』


 沖縄の伊江島に行くフェリーが出る本部港のすぐ近くに瀬底島がある。かつてはこの島もフェリーで渡らなければならなかったが1985年沖縄県道172号線瀬底大橋が開通した。
ここに『一休』という民家を改造した食堂がある。ランチが確か1000円(ぼくが行った時は、特別に夕食を2000円で出してくれた)でその量と質には定評がある。突き出し4品、お刺身盛り合わせ、煮魚、サラダ、天ぷら、デザート、コーヒーまでついて2000円は、めちゃくちゃ安い。ただ、難点は50歳以上の年齢では量が多すぎて食べきれないこと。量を減らし、食前酒を出してくれると最高だな。煮魚が苦手なぼくがぺろりと平らげました。ただし、一日10組限定です。
休み処『一休』
 905-2027 沖縄県国頭郡本部町字瀬底411
 ☎ 0980-47-3323 http://blog.goo.ne.jp/satesate_001/
               
                                                    ―続く―

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