デイリーフレネ

NO 1599  村田さんとぼくのこと(2) 12.01.24

70年安保の後、村田さんとは10年の空白がある。再びの出会いに到るまで、ぼくの歩みを書かなければならない。

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1970年、安保闘争の後、あれやこれやあってぼくは、田舎に帰った(北海道北見市)。10月~翌年の3月まで、鬱屈した時を過ごした。教育誌『教育労働者』に連載されていた川村徹(村田さんのペンネーム)の文章を読むのだけが唯一の救いだった。71年、大学に戻ったが政治の時代は過ぎ去り、ぼくの居場所も無くなっていた。

 

文学部の教育学科に入学していたのだが、教員になりたかったわけではない。大学受験模擬試験を受け、採点結果「第1志望 あなたの合格率は25パーセント以下です」を読み、「なんのために学んでいるのか?」と初めて疑問に思った。無意味な毎日を過ごすことに疑問を持たない自己を形成したことの責任の一端に、教育を見た。教育とは何かを考えなければならないと、その時初めて思った・・・。しかし、北海道の片田舎を脱出したいという強い思いを持っていたことも事実だった。69年・70年、大学の授業は殆ど無かった。授業が行われるような状況でもなかった。

 

72年春、「大学で学ぶことは、何も無い」と退学届けを出して、大学をドロップアウト・・・。関西の共同体をあちこち放浪する・・・。ヤマギシ会、紫陽花邑、一燈園・・・。建設労働・土方・共同体キャンペーン運動など・・・。無給で働き、焼酎をかっくらって夜遅くまで討論していた。「幸福とは何か?」を・・・。

 

この時、『国民教育論批判』川村徹(私家版)をヤマギシ会の図書室に置いてきた。意識の片隅にだけ村田栄一は生きていた。

                                                        (続く)

 

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