デイリーフレネ

NO1614村田さんとぼくのこと(18) 2012.03.12

このブログは『おーい!仲間たち』と連動しています。映像は、そちらに載せています。両方ご覧下さい。http://jfreinet.flier.jp/nakama/

【1979~1982】その5 

1980年の4月から再び小学校へ!明星学園小学校4年1組の担任を3年間受け持つ。

この時も楽しかったなあ。とにかく、授業に関しては全く制約がないので実験的なことを自由にできる。大まかなカリキュラムはあるが、授業内容は担任に任せられる。持ち授業は、国語・算数・社会の三教科のみ。後は、すべて専科教諭。何でもできた。怖いもの知らずだった。

 こんな授業

学級通信は、毎日出していた。当時、どんな授業をやっていたのか学級通信を見てみると・・・。

※ 明星学園4の1 日刊通信 『遠くまで行くんだ』1980.4・5月号

学級通信は二ヶ月に1回くらい製本していた。この時代は、まだガリ版。製本して余ったものは、各種研究会にもって行き、1グラム1円で売っていた。即、完売!

 

4月~5月の授業・・・国語は、前川康男の『ふしぎなふろしきづつみ』、算数は、『1億タイルを作ろう』、社会科は『手の授業』と絶対に失敗しない教材のオンパレード!忘却の彼方に行っていたが、どうも朝日小学生新聞が取材に来ていて、1億タイルと手を使った仕事の様子を1ページに渡り記事にしていたようだ。学級通信にそのコピーが貼られている。

 

授業は、教材が全て!教材が良ければ教師がじたばたしなくとも子どもは、動く。上記の教材は、当時最新の授業。今見ても全然古くない。学級開きのHow to本があれこれ出ているが、ぼくは全く使ったことがない。ハードよりソフトで勝負!明星は、そんな気風が溢れている学校だった。それぞれの責任で教材を選び、紹介し・・・。だから、「何をやっていいかわからない・・・」という教師は、いなかった。みんな、ある意味自立していたってこと。

 

1980年の4月~1983年3月までどんな授業をしていたのだろう?『ひと誌』(後に『現代教育実践文庫』に収録いずれも太郎次郎社)に収録されているものを見てみた。

 

『立体村の思い出―ゲームと操作で学ぶ立体』『対称マン』『丸い世界と平らな世界―球面の幾何』『体積村の思い出』 これら算数は、すべて物語り形式のテキストで行なわれた。

『穴掘りから穴埋めの授業―地面の下は、どうなっているか?』『手の授業』『水と緑、そして人間』『50万年を歩く』他・・・。これら社会科は、教室の外に飛び出し、実際に作る・確かめることを主に行なった。

 

国語は、新しい教材をかなり開発した。『あんず林のどろぼう』(立原えりか)『「赤い風船」の少女をたずねて―エッセーを読む』(外山滋比古)『女の子―性と生を考える』(今江祥智)『海沿いの道』その他・・・。

 

● 心に残っている授業

どれもこれも楽しかったが、笑えるのは『穴掘りから穴埋めの授業』。地面の中はどうなっているか予想図を描き、実際に教室前の花壇に穴を掘って確かめてみた。関東ローム層なんかわかるんだよねえ。子ども達、朝早くから放課後までとにかく穴を掘り続けたなあ・・・。かなり深く掘ったある夜・・・、警備のおじさんが穴に落ちてやむなく中止・・・。タイムカプセルを埋めました。実尺の地層図を校庭一杯伸ばしてもみた。

 

『「赤い風船」の少女を訪ねて』も思い出に残る。外山滋比古さんの家の裏庭に落ちていた赤い風船。手紙の中に書いてあった住所を頼りに外山さんがその女の子の家を探し当て、幸多からん事を祈る・・・、というシンプルなエッセー。原作の重要性を知ったのもこの教材。二つのエッセイを一つにまとめて教材にするという脚色がなされていたのには、びっくり!授業をどう作ったか?シンキングマップ的に書くと次のようになる。

 

昔の教科書に乗っていた『赤い風船』(東京書籍『新しい国語5上』)→原作を探す→『赤い風船』&『大文堂』の合作ということがわかる。原典は『裏窓の風景』外山滋比古(英潮社 現在展望社より新装版が出ている)→電話番号検索し印刷所『大文堂』を探す→外山さんの家から大文堂までの道を下見→子ども達と一緒に外山さんの家から『赤い風船』の少女の家を探す。都市型オリエンテーリングを最後に持ってきた。

 

こんな授業を想定していたら、3人の男の子が外山さんの家に行き、外山さんに案内してもらい大文堂まで行っちゃった!おまけに、外山さん宅でジュースまでご馳走になっちゃった!みんなうらやましがることしきり・・・。今、この実践を読み返してみて、自分で感動しちゃったよ・・・。いやあ、ぼくの宝です。それにしても36人の子どもを連れて外山さん宅にお邪魔し、おまけに全員分の荷物も預かってもらい・・・。ずうずうしいというか、無礼というか・・・、怖いもの知らずだった・・・。

 

これら実践の詳細は、『現代教育実践文庫』を参照して下さい。こうして、あちこちの研究会で授業の話をするようになったある日、運命の日がやってきた。

                                                        (続く)

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