デイリーフレネ

NO 1631 沖縄という素材(1)

久々に、二ヶ月ぶりにブログの更新です。数回にわたり、沖縄に関することを・・・。

『沖縄』という素材(1)

 

プロローグ

【鳩間島】

 

東京から直線距離にして約2000キロメートル、八重山諸島は西表島の北約7キロメート

ルにぽっかり浮かんでいる小さな島。行政区分は、沖縄県八重山郡竹富町に属している。周囲約3.9キロメートルの鳩間島は、歩いても1時間弱で一周できる大きさで、港のある島の南側だけに集落があり、あとは原野が広がる。1949年(昭和24)年にはカツオ漁や海藻の養殖などで650人あった人口もこれをピークに徐々に減少。現在の島民は、小中学校の教職員も含め、約50人・・・。

 

小中学校の存続のために島民が里親になり、養護施設や親戚筋から子どもを預かることにし、里親制度は現在も続いている。1980(昭和55)年西表島より海底送水、198(昭和58)年海底送電が始まり、井戸や雨水、ランプの生活に別れを告げる。

 

2000年頃まで島には主だった産業はなく、それぞれの手段で現金収入を得ていた。21紀を迎えて観光客が徐々に増加。それまでは週に2便しかなかった定期船も石垣~鳩間の高速船が毎日運行されている。2005年には鳩間島を舞台にした『瑠璃の島』が放映されたことが起爆剤になり、現在は多くの観光客が訪れるようになった。島には10軒の民宿があるが、他の島にあるようなリゾートホテルや観光施設、見どころなどない。しかし、なにもないからこそ、なにものにも追われることのない贅沢な時間を過ごすことができる。 海は天下一品!美しいサンゴ礁の海で泳ぎ、島を散歩し、木陰でまどろみ、夜には島酒(泡盛)を飲む・・・、ゆったりとした時間の流れに身をゆだねることができる・・・。

 

※ 羽根田治さんの『鳩間島通信』より引用

http://www.media-paradigm.co.jp/~hatoma/

 

今年も行って来ました!フリースクールジャパンフレネ恒例の体験旅行、沖縄『飛ぶ

教室』in鳩間島・・・・。以前は30名近くを引率して2週間もの大旅行だったが、今はそ

うも行かない。年を取って大人数を引率できなくなった。

 

鳩間島・・・、通い始めて早25年・・・。当時、観光客が最も少ない八重山の有人島を調べてたどり着いた。石垣港から週に2便出る貨客船鹿島丸で2時間半・・・。初めて行った時は、数年前に水道と電気が通じた島・・・。食堂も自販機もなかった。ただ、ぼーっとしているだけで・・・。そんな体験を子ども達にしてほしい。それだけ・・・。

 

一般的に学校の体験旅行といえば、とかく教育的になりがち。いつだったか、子ども達

と登山した時、学校の団体に遭遇したことがある。

 

「頂上までの道でどんなことを発見しましたか?どんな植物がありましたか?」

教師の質問に、「そんなもん、見ちゃいないよ」

体育座りさせられていた子どもがぼそっと呟く・・・。

思わず笑ってしまったが、学校ってそんなところだ。一人ひとり、いろんな感じ方があっていいじゃないか。それをおしなべて画一的にするところが学校だ。

登山一つ取ってみても、いろんな楽しみ方があっていいじゃないか。

 

それと同じように沖縄だっていろんな楽しみ方があっていいはずだ。

 

Part 1 平和学習と沖縄 ―ためになるほどつまらない

 

沖縄の修学旅行といえば、平和学習が定番。かなり綿密に事前学習していくところもあるし、教師主導で旧態依然の旅行を行うところもある。しかし、何かを調べるという行為は、わからないことや疑問があるからこそ行われる。それは疑問→調査→体験→発見という連鎖が繰り返し行われることを意味する。これが学習である。教師の指示に従い、何かを調べることにどれほどの意味があるだろう。

 

ジャパンフレネ出身の私立高校生K君の修学旅行の日程を見てみよう。

【第1日目】

東京→那覇→本部の修学旅行専用のホテルへ直行。ちゅら海水族館見学。

【第2日目】

ホテル→ひめゆりの搭(ひめゆり平和祈念資料館)→平和祈念公園(平和祈念資料館、平和の礎)→ホテル

【第3日目】

ホテル→沖縄本島恩納村のビーチ→ホテル

【第4日目】

ホテル→テーマパーク『沖縄ワールド』→那覇空港より昼過ぎ帰京。

 

「つまんない旅行なんだよ。先生が全部決めちゃってるから、行きたい所があっても行けない。フレネで行ったほうがずっと楽しかったよ」

K君は小2から中3までフリースクールジャパンフレネで過ごしたので、連続8回、鳩間

島と沖縄本島の旅を経験している。

 

「事前学習はしていったの?」

「一応はね。班ごとに先生が指定したところを調べて壁新聞にするんだ。行かないところ

も調べるよ。首里城は行かなかったけれど調べたよ」

「二日目は、ホテルに帰ってきた後、ひめゆり部隊の生き残りの方の話を聞いたんだけれど、ほとんど聞いていないよね」

「ビーチが汚いんだよ。サンゴも死んでいるし、魚も全然いないんだ・・・」

「沖縄ワールドではお土産を買って、弁当食べただけ」

と、まあこんな具合だ。

 

事前学習は行ったが、調べるための動機付けがない。疑問や不思議がない。形だけの事前学習・・・。これが大半の修学旅行の平和学習ではないだろうか。

                                                  (続く)

 

 

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