デイリーフレネ

NO 1678 村田栄一におけるリフレクション 2019.0606

村田栄一におけるリフレクション私見

 

12回教育考古学会例会 2019.05.25

                             木幡 寛(ジャパンフレネ

 

授業後にリフレクション(振り返り)を行う場合が多い。この場合のリフレクションと子ども個人が一日の反省(自己の言動を振り返る)として行われるものが多い。

同時に教員個人が、あるいは研究会などで集団として子どもの動態をベースに教員自体のリフレクションを目指す。つまり、教育的配慮をベースに、いかに子どもたちをルートに乗せ、予定調和の世界に連れて行くかを検討することにつながる。

これは、いかにAL(Active Learning 能動的学習)、PBL(Problem Based Learning 問題解決学習 )といえども、公教育では、この枷から逃れることはできない。

リフレクションを単純にまとめると次のようになるだろう。

【リフレクションの類型】

    子どものリフレクション 授業 生活 テストなどの記述やHR 学級通信

    教員のリフレクション  授業 生活 テストなどの記述やHR 学級通信 教員間 

            の研究会やワークショップ

    保護者のリフレクション 授業 生活 テストなどの記述やHR 学級通信 うわさ

            話 子どもの発言

    ①+②による新たな展開

    ①+③による新たな展開

    ②+③による新たな展開

    ①+②+③による新たな展開

 

これらはどのような形態を取っても目指すところは同じである。つまり、予定調和の世界から脱皮することはできない。

そこで村田栄一の著作を再読し、彼が考えていたリフレクションの観点を考えてみた。

それは、次のような観点に立つものになるだろう。

 

【村田栄一のリフレクションベース】

    戦後民間教育、特に授業の科学化への懐疑

戦後民間教育の視座から外れたものへのまなざし 例えば夜間中学や障がい児教育

無着成恭との論争

   学校教育の身体

何かをするための肉体ではなく、人間の権利としての『生命を守るための肉体』

自然に触れさせることが善なのかという疑問&阿部進の『現代っ子』論

   教育は未来に属する

未来を信ずるとは、すぐに役立つことを否定する勇気が必要

受験に迎合する授業の否定

   『管理体制』とは無難を持って量となす体制

ハプニングを封殺する集団態勢への徹底抗戦

 

 以上を初期著作から展望することができる。

彼が考えているリフレクションとは、単に授業がうまくいったとかいかなかったという地点に立つのではなく、アウトサイダー(アウトロー)の観点から自己分析し、未来を展望していく所作のように思われる。それは、初期著作1970年前後にハプニングを目指す『デペイズマン』の実践や『トリックスター』の重要性を説いていることで一目瞭然である。

 

 かつて、「こういう実践があった。頑張ればできる。できないのは君の問題である」という論調が研究会の中で多く聞かれたが、それが通用する時代ではない。かといって公教育の中で足並みそろえ、みんなが高レベルの授業(それがどのようなものなのかも吟味しなければならないが・・・)ができるのかといえば、それも難しそうだ。

 では、どうすればいいのか?

 

  公教育とオルタナティブ教育の連携

現状では、オルタナティブ→公教育への刺激

  オルタナティブ教育の連携による教育のモデル化

例えば、A・B・C三つのオルタナティブスクールのいずれかに所属しつつも、特色あ

 る各オルタナティブスクールに自由に行き来できるシステム。経営的リスクが小さく、多様性もある。

公教育の場合、放課後、各学校への行き来が可能であるが、これが限界。来年開校予定の風越学園(軽井沢)の副理事長岩瀬直樹がこの構想をもっている(放課後、軽井沢の各学校間に循環バスを走らせる)。

 

 リフレクションの基本として、次のようなベースが必要である。

授業づくりのベース

   曲げることができない自己の思想やポリシーを持つ

   子どもの疑問や発想に対応できる全方向性を持つ

    そして、それにあらゆる技と感性を持って関わり、バックキャスティングする・できる。

これらをベースに、アウトサイダーとして自己や状況を客観的にみる(メタ化)行為が村田栄一のリフレクションではないだろうか・・・。

【魅力あるアウトローアウトサイダーの条件】

   自ら課した『掟』を持ち、自己も他者も裏切らない

ヒーローやカリスマは不要。自己ヒーロー化・カリスマ化の否定。日陰の存在という恥じらいや負い目を持ち、法を犯しても自己も仲間も裏切らない。マテオ・フォルコーネへの近似値。

   宮澤賢治的無欲と非政治家的金遣い

やりたいことに金を惜しまない。宵越しの金は持たず、金遣いはきれいに。

名誉や権力を求めない。既存秩序への懐疑、反抗や破壊に徹する。

    時流にこびない 

流行に乗れば、その途端、反逆は商品に堕落する。異端から正統への変貌。

ベンチャーの是非。

    反逆者たること

反権力、反体制の意志

   人間的スケールの大小

常識外れの器の大きさ=既存の法の枠内に納まりきれない。

 出る杭は打たれる→打たれても構わない

 

【参考文献】

 村田栄一の初期著作

・戦後教育論 社会評論社 1970

  原本は私家版『国民教育論批判』ペンネーム 川村徹

・無援の前線 社会評論社 1972

・闇への越境 田畑書店 1973

・飛べない教室 田畑書店 1977

・ことばが子どもの未来をひらく 筑摩書房 1977

 

・アウトロー列伝 (月刊『東京人』)都市出版 2008 10月号

・バックキャスト思考 石田秀輝 古川柳蔵 ワニ・プラス 2018


NO1598 村田さんのこと(1) 20120123

ぼくの師匠、村田栄一が亡くなった・・・。

 

村田栄一と会ったのは、70年安保でごった返していた1970年初夏のこと・・・。ぼくはまだ20歳だった。大学のサークルで彼に来てもらい、話を聞いた。下駄履き(村田さんは、サンダル履きだったという)でポロシャツのラフなスタイルで現れた。当時、対文部省との戦いは、『国民教育』を旗頭にする既成左翼が牛耳っていた。それを超えた視点例えば、国民として絡め取られていく矛盾、京浜工業地帯の労働者が搾取されているにも関わらず、わが子に「おい、勉強しなければだめだぞ」と国民一般に絡め取られていく過程を自己の実践をベースに語ってくれた・・・。ペンネーム川村徹で書いていた私家版『国民教育論批判』は、ぼくのバイブルだった。

 私家版『国民教育論批判』は後に『戦後教育論』(社会評論社)として加筆・訂正され出版される。

 

その当時、村田さんは『とびだせ!ちびっ子』(エール出版)で教室の様子をいきいきと伝えていた。この本は、後に『学級通信ガリバー』(社会評論社)としてベストセラーになる。ガリ版刷りそのままのページ。各号の扉には現代詩。その斬新な発想に後日教員となったぼくは、そのスタイルを真似させてもらった。若手の多くの教員がそうしたに違いない。

 

この時の出会が運命的であったと気づくのは、それから10年後のことである。

                                                        (続く)

 

 ジャパンフレネ 代表・木幡ブログより

この連載は、31回まで続く。

 

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