デイリーフレネ

NO 1569 流れ流れてばっくれて、いろんな価値観知りました 2010.9.24

プロローグ


1977年度の日教組全国教研は復帰後初の沖縄で行われた。第4分科会『算数・数学』で埼玉の正会員に選出された教師2年目のぼくは、その時、初めて沖縄に足を踏み入れた。車は、まだ右側通行だった。
パイナップルはりんごのように木にぶら下がっていると思い、バスガイドに笑われた。沖縄戦で敗走した軍人や民間人が立てこもったガマの一つ糸数壕に入ったときは、その冷気に身震いし、そうそうに壕から出てきた。


それ以来33年間、ほとんど仕事がらみ(授業巡業やワークショップ、旅行の引率)だが、何らかの形で毎年、沖縄を訪れている。北はオリオンビール名護工場の隣にある東江(あがりえ)小学校、北谷(ちゃたん)町やコザ、恩納村や那覇でも授業をしたなあ。一番困ったのは、宮古島の小学校で算数の授業をした時、子ども達が一言も発言してくれなかったこと。そりゃあそうだよなあ、東京弁をしゃべるあんちゃん・・・。授業後、島の先生の話している言葉を聞いて英語より理解できなかったことにショックを受けた。同じ島でも石垣島の登野城(とのしろ)小学校では、発言が出てきたし、西表島の北にぽっかり浮かぶ周囲3.9キロの鳩間島、鳩間小中学校での授業でも発言はあった。この違いは、一体何なのだろう・・・。


ぼくが沖縄で一番好きなのは、『てえげえ』と『なんくるないさあ』。
※ てえげえ:適当、いい加減 なんくるないさあ:なんとかなるさ
 こんな感じの沖縄方言だと理解している。


沖縄では25年通っている鳩間島。毎晩毎晩数名で島酒の1升ビンを3本空けていたもんなあ・・・。あんまり深刻に考えないで、困ったことも島酒(泡盛)でも飲めばなんくるないさあ・・・。


しかし、この数年の沖縄で『てえげえ&なんくるないさあ』に反する光景にたびたび出会う。沖縄県庁、沖縄県警近くのコンビニ『Fマート』に立ち寄ったときのこと。ビール抱えたおっさんに店員がこう言った。「酒類は20歳以上の方だけへの販売になっています。何か年齢を証明するものをお持ちですか?」おっさん、激怒したねえ。「俺が20歳以下に見えるか!このフラー(馬鹿者)!どう見たら20歳以下に見えるんだ!」頭が薄くなっておそらく60に手が届くであろう大先輩に「規則ですから、年齢を証明するものがなければお売りできません」おいおいおいおい、そりゃあないだろう!マニュアル通り一歩も引かない定員に対し「こんな店、二度と来るかあ!」おっさんはコンビニを出て行った。


そして、この夏の那覇空港での出来事・・・。最近の航空会社はサービスを徹底的に省略していてコストを落としているのでビールの販売がない場合がある。(東京に帰るんだから、ここはオリオンビールを飲みながら大東寿司でもつまむか)と空港内の売店に行ったら・・・。「こちらは酒屋ではありませんので、缶ビールのプルトップを開けて紙コップに移し替えて販売させていただきます」


おいおいおいおい。それはないだろう!ビールの入った紙コップを持って、移動するのか・・・?しかし、以前よりずっと丸くなったぼくは、「いいよ、いいよ、それでいいよ」・・・。ビールに対するいやしさに負けました。『てえげえ&なんくるないさあ』で行ってほしかったなあ。この価値観の変貌ぶりは一体何なの・・・?

                                                       ―続く―

日々の状況や教育エッセイをJF代表・木幡が執筆。
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