デイリーフレネ

vol 1502 2008.6.10

● じいさんの是非


八王子から新宿まで私鉄で通っている。乗る電車の席は、ほぼ決まっていて一番最後の車両のシルバーシート(58歳だからいいでしょう)。途中駅から乗ってくるじいさんがいるのだが、このじいさんがかなりの堅物。同じシルバーシートに座るのだが、毎回、何らかのアクシデントを生み出す。それでは、そのじいさんのお話・・・。


生まれは大正14年。旧制高等学校を経て京都帝国大学、そして学徒出陣で兵役へ。足に銃弾をうけ、片足が不自由。会社の社長・会長を経験し、今は相談役か?
※ 聞きもしないのに、勝手に教えてくれました。


さて、昨日のこと、じいさんの隣にあんちゃんが座った。
「おい、シルバーシートでは、音楽を聴くのはやめろ」
「音が漏れていますか?」
「身体に戦争の時の弾が入っていて、機械をつけているんだ。イヤホンをとるか席を動かないなら、俺が移動するぞ」
あんちゃん、無言でイヤホンをとり、寝たふり。


次のターミナル駅でどーっと客が乗り込んでくる。向かいのシルバーシートに若い姉ちゃんが急いで座ろうとすると、そのじいさん、「こら!おばあさんに座らせてあげなさい!若い者が!」ステッキを振り上げ威嚇行為。姉ちゃん、すごすご・そそくさ席を立つ。


「全く、いまどきの若い者は!教育のつもりで言ってやるんですよ。注意すると刃物を持ち出すやつもいて、困ったもんだ。席を譲るということを知らん。どういう教育を受けてきているんだ」となりの人に大声で話しかけている。寝た振りしていたあんちゃん、次の駅で降りた振りして隣の車両に移っていっ行った。


「いやあ、そういうあんたも大声が迷惑ですよ」と言おうと思ったが、終着駅での降車時、「いやあ、大声で失礼しました」負けました。


昔は、こういうじいさんがたくさんいたけれど、都市化で地域性が希薄になり、人と人の連帯感が無くなったもんなあ・・・。しかし、ああいう若者を生んだのは、じいさんやぼく達の年代の責任でもある。じいさんの是非についてしみじみと考えた・・・。


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