デイリーフレネ

NO1630  教科教育について―品田さんの死で・・・ 2012.07.03

埼玉県北本市で私塾『おてんき勉強会』を主宰していた品田義国さんが亡くなった・・・。

ここしばらく、月刊通信が送られてこないなあと思いながら、こちらのワークショップ案内を送った。

「このたびは通信をお送り下さりありがとうございます。しかし、誠に残念ながら、品田さんは昨年四月に亡くなってしまいました。お知らせできなかったこと、おわび申し上げます」

 

びっくり!言葉を失った・・・。三年前から足がつり、病院に行ったところC型肝炎・・・。月に一二度の通院を繰り返していたが、昨年3月4日に入院したが4月2日に永眠されたそうだ。

 

品田さんとは数学教育協議会(数教協)のメンバーとしてのお付き合いだった。公立学校に勤務していた35年以上前から数教協のサークル、研究会でお会いし教えを受け、また、飲んだ。ジャパンフレネ熊谷をオープンした時は、北本で途中下車し、一緒に杯をかたむけた。ずいぶん前、数教協の全国大会が山中温泉で行なわれた時、品田さん達は車、ぼくはバイクで能登半島を一緒に回った。あの頃は、ぼく達、永遠に生きていられると思った・・・。

 

ところで、最近の教育実践の潮流は、どうなっているのだろう?品田さんやぼくは、数教協という民間教育運動の中で教科教育の実践をベースに学び、鍛えられていった。面積をどう教えるか、異分母分数の加減は・・・。ひとが賢くなることの意味を教科教育の中から学んでいった。教室の中の子どもとのコミュニケーションも教科教育をベースに考えた。そこから数教協だけでなく仮説実験研究会、科学教育協議会、教科研国語部会、児童言語研究会、日本作文の会、日本生活教育連盟、社会科の授業を創る会、体育同志会・・・、教科の学びは、どんどん広がっていった。

 

現在、横浜や神奈川をはじめ、あちこちの教研に共同研究者として呼ばれているが、算数・数学分科会なのに教科研究がほとんど出てこない。コミュニケーション能力を獲得するための算数、対話のある教室をつくるための算数、そんなのばかり。内容は、教科書そのまま・・・。

 

ファシリテーションやアドベンチャー系が教育実践として流行っているようだが、教科教育の中身をないがしろにしているのでは、信用できない。国語・算数・社会・理科・・・、それらの授業をどう行っているのか見てみないと信用できない。○○できるようになる方法なんてないんだよ・・・。はたから見ると、一人の教師の血のにじむような実践(その教師は、頑張っているとも努力しているとも思っていない。楽しいと思っているだけ・・・)の試行錯誤の中から垣間見ることができる一筋の光・・・。どこでも通用する方法も無いんだよ・・・。なのに教育How toものに走る安直さ・・・。やっぱり公教育には未来はないのか・・・。

 

品田さんの死から、そんなことを考えた。

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