デイリーフレネ

NO1553 夢と希望(2)―スクレとタラブコ 2009.11.13

あれは、いつだったろうか?スェーデンのヘマーバンで開催されたフレネの会議の後、3回目の南米訪問。ボリビアの行政上の首都ラパスから飛行機で1時間、憲法上の首都スクレに飛んだ。

 

Sucre intersection.jpg

1826年のボリビア建国から1890年まではスクレが名実ともにボリビアの首都であった。1899年にラパスを拠点とした自由党が「連邦革命」をおこし、スクレを基盤にしていた保守党政権を打倒した。そして、翌年に自由党政府は議会と政府をスクレからラパスに遷したため、スクレは憲法上ではボリビアの首都のままであったが、首都機能の大半を喪失した。

ボリビア独立時の調印が行なわれた場所で、今も16世紀に建造されて以来蓄積されてきたコロニアル様式の古い町並みが残っている。白く美しい建物が多いため、「白の街」と呼ばれることもある

提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

学校に通う子ども達はお昼時は自宅に帰り、昼食後の午後3時頃、また学校に戻る。スペインのシエスタの習慣が残っている。しかし、学校に行けない子ども達もいる。スクレの公園で休憩していた時、サルティーニヤ売りのインディヘナの少女がいた。

※ サルティーニヤ

ボリビアでは、どこででも食べられている。牛ひき肉にタマネギ、にんじん、ジャガイモのみじん切りを加え、パイ地で包みオーブンで焼く。すごくおいしい。下記HP参照。

                   ↓

http://www.nipponbolivia.org/cantuta.php?no=3&page=8

 

汚れた民族衣装を着、かごに入れたサルティーニヤを持ったまま、初めて見たであろう日本人を興味深げに見ている。手招きしてサルティーヤを二つ買った。一口食べて、「おいしい!」という身振りをすると、それまで警戒していた表情がいっきにくずれ、微笑が浮かんだ。ぼくのすぐ横をお昼帰りの小学生の集団が通り過ぎる・・・。

 

スクレには、日本人観光客はほとんどやってこない。この街からバスで2時間ほどの場所にタラブコという小さな集落があり、日曜ごとに市が立つ。バスもあるが、さらに経費を節約したいバックパッカーは、乗り合いトラックでタラブコまで行く。ぼくは、時間を節約したかったので奮発してラジオタクシー(無線付タクシー)を奮発した。整備されたトヨタの車でタラブコまで1時間、往復の費用は、50ドルだったと思う。

 

タラブコ(Tarabuco)とは、ボリビアのチュキサカ県にあるちいさな町。 スクレからバスで約2時間のところにある、山間の町である。伝統的な衣装を身につけた人々と、特徴的な祭りで有名。 ケチュア語が多く話されているが、スペイン語もほぼ通じる。

提供: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

市は広場を中心に広がっている。とある路地に入ると、文房具屋の前でタラブコの民族衣装を着たインディヘナの母親と小学3年生くらいの男の子が店のオヤジと何か交渉している。店のオヤジはスペイン系だ。

 

やり取りを見ていると、どうやらクレヨンを買いたいらしい。男の子の手には、8色クレヨン・・・。細巻で品質はあまり良くない。店のオヤジは、「買うのか買わないのか、はっきりしろ!」と言った感じ。母親は、おろおろしながら、「ねえ、それでいいのかい?どうなんだい?」と子どもに聞いている。子どもは、小さくうなずく。母親は、くしゃくしゃのボリビアーノ(ボリビアの紙幣)を差し出すと店のオヤジは、汚いものを触るようにボリビアーノを受け取り、店に消えた。おそらくなけなしのお金で安いクレヨン(二人にとっては高価なクレヨン)を買ったのだろう。路地を歩く、その子の嬉しそうな顔が心に残った。

 

スクレの少女、タラブコの少年・・・、二人は今、どこで、どんな生活をしているだろう。

20年前のボリビアでの記憶だ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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