NO 1637 ぼくとお酒とワタルちゃん―フォークシンガー高田渡との26年(4) 2012.10.16
Part 3 1999~2005
※ ほんとのことが 言えたらな
目が見たことが 言えたらな
思ったことを便りに書けたらな
頭の上を吹く風よ
仲間がいま 何をしているのか きかせてくれ
彼はいま 何を見ているのか
もうひとりの彼は 何を考えているのか
遠くの彼はだれと 心を通じているのか
あのひとの目は 何を言おうとしていたのか
そんな気持ちが唄に 唄えたらな
優しさが 音に表せたらな
そしたら ぼくはぼくになれるのにな
(『風』詞 朝倉博 原曲 イギリス民謡)
※ リフレイン
1998年12月末日を持って長かった教員生活に別れを告げ、フリースクール『ジャパンフレネ』を立ち上げた。同時に授業づくり集団『BASIÇ』も・・・。年に二回行うBASIÇの合宿研究会には、何度も来てもらった。
2000年に上梓した拙著『算数のできる子どもを育てる』(講談社現代新書)の出版記念会ではゲストとしてトークショー&ライブ・・・。
「えー、今日家を出る時、『CDを持って行って買ってもらおうかな』とうちのやつに言ったら、『木幡先生の出版記念会でしょ。それは、やめなさい。失礼よ』と、叱られました」(大爆笑)いつも、こんな感じ。出版記念会のあとは、終電まで新宿三丁目界隈からゴールデン街を一緒に呑んだくれ。
合宿では、ワタルちゃんの甘える姿を何度も見てきた。
「おれ、今日はもう歌わない。歌わないって言ったら歌わない」それで隣の部屋に逃げ込む。「ワタルちゃん、もう少しだけ歌ってよ・・・」
駄々をこねるワタルちゃんは、可愛い。なだめすかして飲ませてもう一曲・・・。
そういえばこういうこともあった。吉祥寺をふらふら歩いていて伊勢屋の近くに来た。
※ 伊勢屋
高田渡が毎日通っていたという伝説の立ち飲み焼き鳥屋。
ワタルちゃんいるかなあ?と思って店を除くと、いました!立ち飲みカウンターに・・・。
「あ、センセ!飲もう、飲もう!」
「近くに来たから、ワタルちゃんいるかなあ?と思って」
昼日中から酒盛りが始まる。
「山梨県教職員組合の青年部から、学力問題の話をして欲しいというアポが来ているんだよね」
「あ!学力問題、俺、得意!何でも話せるよ」(大爆笑)
「じゃあ、二人で学力問題のトークショーをやって、その後、ライブをやるってのは、どう?」
「いいねえ!やろ!」
こんな感じで『学力問題&ライブ』が企画されました。山梨県教職員組合の皆さん、すみません。さて、ぼくとワタルちゃん、そして彼の息子の漣君は石和温泉に前泊した。
※ 高田漣
1973年高田渡の長男として東京に生まれる。マルチ弦楽器奏者。
執行委員長と教文部長が遅れるということで、三人が料亭に招かれた。
座敷にずらーっと豪華な料理が並ぶ。三人で顔を見合わせ、大笑い!
「センセ、教職員組合って儲けてるんだねえ」(大爆笑)
翌日の『学力問題トークショー』は約10分で終了。後は渡親子のライブで盛り上がりました。
そして、プロローグに書いたように、こぽこぽこぽとワインをつぐ、合宿の朝につながる。
(続く)