NO 1560 気になることあれこれ 2010.01.23
● すべての都立高 日本史を必修に
都教育委員会は、早ければ2011年度から、日本人のアイデンティティーを高めるため、すべての高校で日本史を必修科目とする方針を決めた。高校の「地理歴史」で指導要領が必修科目とするのは世界史だけ・・・。日本史必修がはたして妥当かどうか、吟味されなければならない。
社会科教育でベースになるのは、「地理」というのが、ぼくの持論だ。人々が生きている地域の気候風土が、その生き方や思想、宗教まで規定していく。例えば、同じ温帯でもヨーロッパの西岸海洋性気候と東アジアの温暖湿潤気候では、農業の形態が全然違い、その違いが食生活や思想の形成に大きな影響を与えている。
※ このことに関しては、『肉食の思想』 鯖田豊之(中公新書)に詳しい。40年前に読んで、大いに感銘を受けた。
昨年末話題になったNHKドラマ『坂の上の雲』(原作 司馬遼太郎)では、日露戦争の内実が詳細に描かれている。単に史実を垣間見るので はなく、何故、ロシアは遼東半島に固執し日本と戦争をしなければいけなかったのかを考えなければならない。軍事に頼り列強の仲間入りを果たしたいロシアにとって、南進=不凍港の獲得は、必要不可欠な条件なのだ。ここに、気候風土、つまりは地理的要因の観点が重要になってくる。
単に地名を覚えたりするだけの地理から、歴史や政治経済にまで連なる地理の学習が望まれる。日本史必修は、そのあとでもいい。どうでしょうか?
● ホームレス歌人の行方
朝日新聞に毎週掲載される読者投稿の短歌欄『朝日歌壇』に一昨年の12月ごろから公田耕一(ホームレス)さんの短歌が話題になっていた。氏名のあとに現住所地名が書かれるのだが、公田耕一さんの場合は、住所が不定なのか(ホームレス)と書かれている。投稿消印から、おそらく横浜・寿町(東京の山谷、大阪の釜ケ崎とともに日本三大ドヤ街と言われる)近辺に住んでいるらしい。
ところが、最近、とんと公田耕一さんの歌が掲載されない。一体どうしたものかと、心配になってくる。移動したのか、はたまた入院しているのか・・・。下記のように傑出した歌を詠む公田耕一さんの安否を気遣う毎日である。
・(柔らかい時計)を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ
・鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか
・水葬に物語などあるならばわれの最期は水葬で良し
・パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる
・日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る
・親不孝通りと言へど親もなく親にもなれずただ立ち尽くす