デイリーフレネ

NO 1561 江ぐちというラーメン屋 2010.01.28

三鷹駅南口にあるラーメン屋『江ぐち』が今月末をもって閉店するという記事を朝日新聞多摩版知った。


江ぐちは、ぼくが大学進学のため上京した42年前から通っていた店だ。当時、三鷹の駅前は、まだ舗装されていず、バスが通るたびに店が揺れていた記憶がある。都市区画整備のため、江ぐちの場所にビルが建ち、今は、その地下一階に店がある。カウンターだけの店で10人も入れば、満員。蕎麦にも似た茶色い麺、化学調味料のほのかな味、昔懐かしい味で忘れた頃に食べたくなる。何よりビールが飲めるのがいい!ぼくは、チャーシューをつまみにビールを飲み、五目ソバ大盛り玉子半熟を食べるのが定番。時代の移り変わりを感じるなあ。そういえば、江ぐちのはす向かいに名画座『三鷹オスカー』があり、これもずいぶん前に無くなってしまった。『チコと鮫』(12歳の頃観た映画)を上映していたとき、観ようか観まいか迷っている間に閉館してしまった。


週末、三鷹に行き『江ぐち』のラーメンを食べようと思う。東京近辺にお住まいの方、ぜひ、どうぞ!


・・・・・・・・・・・以下、朝日新聞多摩版(1月27日)転載


JR三鷹駅近くで半世紀以上営業してきたラーメン店「中華そば江ぐち」が31日で閉店する。地元出身の漫画家、久住昌之さん(51)が「小説中華そば『江ぐち』」という名のエッセーを書いたことでも知られる名物店だが、昨年末に店主が急死。惜しまれながらのれんを下ろすことになった。(松村康史)


 店の話では、昭和27(1952)年ごろの創業。もとは一軒家だったが、20年以上前に三鷹駅南口のビルの地下に入った。カウンターのみ、10人も入ればいっぱいという小さな店だ。


 「突然でね。いやもう、ものすごく残念だよ」。江ぐちで55年間働いてきた井上修さん(72)は力を込めた。久住さんの著書で「タクヤ」というあだ名を付けられ、似顔絵付きで登場する人物だ。


 井上さんらによると、昨年12月29日の朝、2代目店主の江口正直さん(82)が風呂場で亡くなっているのが見つかった。ちょうど1月末で店の賃貸借契約が切れ、更新・継続には費用がかさむこともあり、閉店が決まったという。


 最近の人気店のように、味に強い個性があるわけではない。店内の製めん機で作られるめんは、一見すると色も太さも日本そばのよう。トリ、ブタ、海産物と野菜で取ったさっぱりしたスープに、自家製チャーシューと「竹の子」と呼ぶメンマなどの具が乗る。井上さんが毎朝7時半ごろから仕込んできた。


 ビールを飲む客が多いのも特徴だ。26日午前、一番乗りで来店した常連の男性(65)も瓶ビールとチャーシュー皿を注文した。「ここはラーメン酒場。三鷹の文化だよ。自分らの世代が初めてラーメンを食べた頃の味がする。なんだかホッとするんだ」


 閉店を知らせる張り紙の下に、小さなメモが張ってあった。丁寧な筆跡で「絶対再開すると信じています。ひとまずお疲れさまでした」と書かれていた。


    ◇


 江ぐちは三鷹市下連雀3の27の9。午前11時~午後2時半、午後4時半~8時半。


 【久住昌之さんの話】 ショックです。(人気店だが)僕にとってはなじみのラーメン屋。ブームとは関係なく、昔の味を安く提供してきた良心的な店なのでさびしいです。


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