デイリーフレネ

NO1598 村田さんのこと(1) 2012.01.23

ぼくの師匠、村田栄一が亡くなった・・・。

 

村田栄一と会ったのは、70年安保でごった返していた1970年初夏のこと・・・。ぼくはまだ20歳だった。大学のサークルで彼に来てもらい、話を聞いた。下駄履き(村田さんは、サンダル履きだったという)でポロシャツのラフなスタイルで現れた。当時、対文部省との戦いは、『国民教育』を旗頭にする既成左翼が牛耳っていた。それを超えた視点―例えば、国民として絡め取られていく矛盾、京浜工業地帯の労働者が搾取されているにも関わらず、わが子に「おい、勉強しなければだめだぞ」と国民一般に絡め取られていく過程―を自己の実践をベースに語ってくれた・・・。ペンネーム川村徹で書いていた私家版『国民教育論批判』は、ぼくのバイブルだった。

※ 私家版『国民教育論批判』は後に『戦後教育論』(社会評論社)として加筆・訂正され出版される。

 

その当時、村田さんは『とびだせ!ちびっ子』(エール出版)で教室の様子をいきいきと伝えていた。この本は、後に『学級通信ガリバー』(社会評論社)としてベストセラーになる。ガリ版刷りそのままのページ。各号の扉には現代詩。その斬新な発想に後日教員となったぼくは、そのスタイルを真似させてもらった。若手の多くの教員がそうしたに違いない。

 

この時の出会が運命的であったと気づくのは、それから10年後のことである。

                                                        (続く)

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