デイリーフレネ

NO 1664 道を問うても答えなく 徳はどこにあるのやら(3)2018.11.02

 

Part 4 車内にて・・・―これで『道徳』?

 

お散歩の授業での帰路・・・。武蔵五日市から拝島に出て中央線組と別れ、八高線に乗った。登山疲れもあり、60歳をとうに超えているので、シルバーシートに座らせてもらった。隣は、高校生二人。シルバーシートの前は、車椅子用スペースで座席は無い。窓に手すりがあるだけ。

 

出発直前、二人の小学生が乗り込んできた。制服を着ているのでK学園初等学校の児童だろう(胸にKの文字あり)。結構体格がいいので56年生か?その二人、おしゃべりをしながら・・・、何を思ったのか、男の子、中央の手すりにつかまり鉄棒の真似事・・・。続いて女の子も・・・。周りは、誰も気に留めていない。おいおいおいおい、ここはそういう場所じゃないだろうと思って静観していたのだが・・・。

今度は、窓側の手すりにもつかまり、平行棒の真似事!男女共にだ。隣の中年の夫人にぶつかっても、謝りの言葉もなし。その婦人、さすがに注意するかと思いきや、嫌そうな顔をしたけれど、放置・・・。

 

「ここは公共の場所だよ。そういうことをやる場所じゃないだろう。やめなさい」

さすがにバツが悪いと思ったのか、すぐに止め、そっぽを向いた。

「こういう時、なんて言うの?『失礼しました』とか、『申し訳ありません』とか『ごめんなさい』とか言うんじゃないの?そういうこと、学校やおうちで教わらないの?そもそも、公共の場所でこういう行為をしてはいけないって、教わっていないの?」

 

男の子は、顔を横に振る。そうなんだ、教わっていないんだ。誰にも言われたことないんだ。今日、注意されていなかったら、通学電車の車内で同じ事をやっていたんだ・・・。寂しいなあ・・・。

 

二人は、途中駅で下車した。その間、ぼくと目を合わせようとしなかった。家に帰って今日の出来事を親に話すだろうか・・・?話さないだろうか・・・?大方の想像は、つく・・・。

 

ここでジャパンフレネの子ども達のことを考えた。以前、やはりお散歩の時、大声で騒ぐ小学校高学年の集団(おそらく、遠足に行くのではしゃいでいたのだろう)に「うるせーぞ!てめーら!いい加減にしろ!」とJ君が怒鳴ったことがある。

 

フレネでは、口がすっぱくなるほど公共の場での立ち振る舞いについて話をする。電車内では、立ち歩かない・飲食しない・大声で話さないなどなど・・・。手すりで鉄棒などもってのほか・・・。いろいろな経験をしてフリースクール来ているので、自分が嫌なことは他者に行わないことは、身をもって知っている。マナーやルールよりももっと厳しい己に科したLAWを持つことが問われている。

 

それにしても、誰も注意しないそのことも寂しいよ・・・。子どもも大人も品性の問題かなあ・・・?それとも『道徳』の問題?

 

エピローグ 

 

我が子がフレネに遊びに来て「お勉強する!」と算数プリントに取り組んでいた時のこと。

次のような問題だ。

 

※ ひらがなのかずだけタイルにいろをぬりましょう。

 

次のように色を塗っていた。

 

さん→■■□□□

に→■□□□□

ご→■□□□□

いち→■■□□□

れい→■■□□□

し→■□□□□

 

向かいに座っていたりゅう君が言う。「Mちゃん、全部間違えているよ」

「えっ、全部あってるじゃん!」

???????

 

なあるほど!大人は、さん→3→■■■とイメージする。

しかし、問題文『ひらがなのかずだけタイルにいろをぬりましょう』を忠実に読み取れば、『さん』のひらがなの数は『さ&ん』で『ふたつ』となる。そう考えれば、すべて正解だ。

 

学校の授業の中でこのような場面、「どうしてわからないの?」で済まされることが多いだろう。ぼくが小1の時、「東京の反対は?」という質問に「きょうと」と答え、「違う」のひとことで済まされてしまったことがある。確か、反対語?の授業だったように思う。『とー&きょう→きょう&と』とイメージしたのだが・・・。今考えると、東京の反対って一体何なの?意味、あるの?

 

中3の国語の授業では「木幡、この問題の答えは、次の三つのうちのどれだ?」と指され、「わかりません」と答えた。「わからないとは何ごとだ!三つのうちのどれかだろう!」と国語教師。ぼくの考えは、その三つの答えの中に無かったことを教師は、理解してくれなかったのだ。

 

子どもは、いつも誤解されている・・・。大人の規範で・・・。『道徳』という色眼鏡で・・・。

これが『道徳』?これも『道徳』?これは『道徳』?これで『道徳』?

大人は誰も、わかっちゃくれない・・・。そんなタイトルのフランス映画、確かあったな。

 

                               (完)

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